革ジャン⇔スーツ

毒は持っていません。毒と感じるのはあなたの感性。

空も飛べるはず

空を飛ぶ夢をよく見る。と言っても、よく映画なんかであるような、両手をいっぱいに広げて大空を飛ぶようなそんなメルヘンチックな夢ではない。私のようなハゲデブのオッサンが両手を広げて大空を飛んでいたらすぐさま猟銃で撃ち落とされるか、貴様らそんな大昔のレアなおもちゃをどこで手に入れたのだとヒデキも感激するようなパチンコで大勢の小学生に奇襲されることだろう。そうではない。私がいつも見る夢は、ジャンプして着地する時に「グッと」力を入れると「フワッと」浮き上がるというものである。もう何十年も、何回もこの夢を見ている。最初の頃は上手く浮き上がれず上手く着地出来ないのでなるべく飛ばないようにしていたが、ここ10年程は上手く浮き上がる事が出来る。そうやって浮き上がっても、これと言って便利なものではない。スピードがある訳でもなく、高さがある訳でもない。高さなど3階建てのビル程度、せいぜい10mくらいのものではないか。しかし私は夢の中ではずっとフワフワと浮いている。力を入れれば浮き上がるし力を抜けば降下する。この夢をもうずっと定期的に見るのだ。夢診断なるものをネットで調べたことがあるのだが、その全ては最初に紹介した大空を飛ぶ夢系のものばかりで、私のこのフワフワ浮いている夢に関しては記述がない。この夢が何を示唆してるのかが分からない。別にこの夢に不安要素があるわけではないが、これだけ頻繁に見るなら私の深層心理の中で何かがあるんだろう。面白いのは目が覚めてすぐ、その感覚が残っていることである。飛べるはずなどない。しかし飛べる感覚は残っている。飛べるんじゃないか。飛べるわけないだろう。じゃあ何だこの感覚は。目が覚めてそんな事を考えながら布団の中でずっと天井を見ていると、ふとすぐ横で私と同じく目を覚ました息子が私の顔をジッと見ている。息子は小さな手を私の頬に当てて「パパ寒い?」と聞いてきた。寒くないよと答えたその瞬間、飛べる感覚が消える。夢の呪縛から解き放たれた。また近々この夢を見ると思う。万が一、飛べたら私は何処に行くのだろうか。飛ばない方が良い。また息子に引き戻して貰わねばならん。オッサンが空を飛んだら気持ち悪い。