革ジャン⇔スーツ

毒は持っていません。毒と感じるのはあなたの感性。

お前は能力のない金魚のフンみたいなクズだな

と、私は思われているのだろう。営業活動の半分を関東に移してもう3ヶ月ほど経っただろうか。こっちに来た当初は「アウェイだ」「ハブられている」などと愚痴をこぼしながらも気を張って毎日挑んでいた。実際に古巣のデカい看板を盾にしたクズ野郎には「お前バカだな」「おいいつもの調子でバカ笑いしろよ。お前が居るの気付かねえだろ。」「この大阪野郎」と行く度に皆の前で罵られていた。

いつも読んでくれている人達なら分かって頂けるだろう。私のモチベーションは怒りである。こんなクソ野郎にキレて私がプロジェクトから外れる訳にはいかない。私は私がやるべき仕事を粛々とこなし、待つ。ひたすら待つのだ。笑顔が引き攣っていても構わない。その時は必ず来ると私は信じる。一人、また一人と、周囲の人間、関東の人間をこちらに巻き込み、その環境を俯瞰で見るのだ。誰だ。ここで権力を握る人間は誰だ。

 

見えた。

 

いつものようにやれば良い。その人が好むものは何だ。仕事のやり方は?話し方は?癖は?いつも何を飲んでいるんだ?打ち合わせで忙しそうだから昼飯を買って行こう。その人が持っていない知識やノウハウ、情報を見返りなく提供しよう。いつも笑顔で大きな声で笑うんだ。頼まれた仕事は直ぐに返すんだ。打ち合わせが長引いているならコピーや図面の手直しをその場で手伝うのだ。

 

「おいわべ。飯行くぞ。」

 

「おいわべ。次の打ち合わせお前も同席しろ。」

 

「おいわべ。これお前に任せるからやっといてくれ。」

 

「おいわべ。帰るぞ。」

 

「おいわべ。」

 

権力者はいつも自分の傍に私を置くようになる。するとどうだ。周りの連中は手の平を返すように「私に」協力的になるのである。嫌味を連発していたクソ野郎も同じで猫撫で声で近付いてくる。しかしながら内心は面白くないだろう。私は所謂「金魚のフン」である。私は誰にどう思われようと全くもって問題ない。何故なら、必要な資料が貰えなかったりメールが届かなかったりが全て無くなった。当たり前だ。私は権力者の隣にいるんだ。

お前らは何を勘違いしてるんだ。私は金魚のフンでも構わない。そう思いたい奴はそう思えば良い。金魚のフンとなった今「私の仕事の環境は激変」したのだ。私がいつも考えている事は何か。それは如何に自分で自分の仕事をやりやすい環境にするのか、である。やり方なんていくらでもある。私はその場の権力が欲しいわけじゃない。そうだ。何も恐がらなくて良い。こっちへ来いよ。仲良くしようじゃないか。

 

そんな顔すんなよ。

 

手伝ってくれよ。

 

な?