亡霊の戯言

どんな理由があれど悪は悪。価値観?知るかそんなもん。

誰の味方も出来ない

その怒りは優しさから生まれた怒りで、誰かが誰かを守ろうと必死になっているのが見て取れる。私が中学生の頃夢中になった漫画がある。言わずと知れた湘南爆走族、湘爆である。その漫画にこんな一幕がある。30年前に読んでいた漫画で朧気な記憶しかないのでご了承頂きたい。湘爆率いるリーダーの江口、地獄の軍団のリーダー権田は敵対するチームでありながら、心の中ではお互いを認め合い、チームが違えば親友になっていたんだろうなという関係性。いつも啀み合い、イタズラを仕掛けては笑い合い、嫌いだムカつくと言い合っていた。ある日事件が起きる。地獄の軍団のペーペーが誰かにシメられた。そのペーペーは言う。「湘爆にやられた」と。権田は思う。アイツがそんな事するわけないだろう。しかし話は次第に大きくなり、湘爆と地獄の軍団の対立は激化する。これ以上、事を大きくする訳にはいかないとリーダー同士のタイマンが行われる。ペーペーは嘘をついていると分かっているのに俺は仲間を信じるというスタンスの権田、自分達は何もしていないが権田の立場を全て理解して立ち向かう江口。お互いに一歩も引かずボロボロになるまで殴り合うのだ。それを見ている仲間たちは「もしかして二人とも分かってるんじゃないか…」「あの二人何で殴りあってるんだ?」「悲しいな」と声に出さずそれぞれが思う。そして権田は仲間に殴り掛かる。「お前ら何年湘爆と喧嘩してんだ!」「ふざけるな!」「なんなんだこれは!」と。最後は黙って何も言わずに別れる。誰かを守るために誰かが泣くのは見てられない。本当に悪い奴がいれば良いんだけど、こういう悲しい喧嘩には絶対悪が存在しない。優しさに牙が生えると悲しいのだ。

 

ただのヤンキーの話、湘南爆走族のレビューです。