革ジャン⇔スーツ

毒は持っていません。毒と感じるのはあなたの感性。

世界でいちばん熱い夏

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何を隠そうキッズの頃の私はブルーハーツだラフィンノーズだのとパンクの皮を被ってイキがりながら家ではこっそりとプリンセスプリンセスを聴いていた。そのきっかけは何の番組か本だったかは忘れたが、ギターの中山加奈子がキースリチャーズのポスターと一緒に写っている姿があまりにも色っぽくてカッコ良かったからである。ダイアモンドのPVだったかな?忘れた。そして家ではプリプリのレコードをかけてギターのコピーをし、外ではロン毛をなびかせてそこら中にメンチ切りながらパンクロッカーを装う心の不安定な高校生であった。余談だがロン毛など流行らないその頃に校則違反で髪を伸ばしていたので、学校の鬼教官に髪を引っ張って引きずり回された挙句その鬼教官の必殺技は「インキンアタック」であり、ノーパンにホットパンツの鬼教官が私の顔に跨ってインキンをグリグリされるという「笑ってはいけない」でもそんな罰ゲームは無いであろう罰を受けていた。記録ではない記憶に残る教官であった。今やったら教育委員会に叱られますよ教官。元気ですか?私は元気です。話を戻そう。まぁそんなロクでもない高校生だった私は女性が苦手であった。百貫デブだった私は高校ですでに痩せてはいたが、これは初めての彼女が出来る前の話である。デブを拗らせた私は「俺に彼女なんて一生できない」「こんなブサイク好きになってくれる女なんていない」「ギターが俺の女」「お前(安物の最初からネックが反っててチューニング合わないギター)が傍にいてくれたら良いよ...」「あー空からラムちゃん降って来ねえかなー」などといつも思っていたわけだ。しかしながら当時の私はパンクロッカーである。教室でイチャイチャしてるパリピを薄目で見ながら全身から怒りを醸し出していた。クソッタレが。俺は終わらない歌をずっと歌っててやるよ。とブツブツ言いながら教科書の端っこに☮マークを書いていると後ろから誰かが私に声を掛ける。「お前ギターやってんの?」何だお前は馴れ馴れしい野郎だな。ぶっ飛ばすぞこの野郎と思いながら口から出た言葉は「うん...」である。チキンである。ファミチキである。ファミチキパンクである。ファミチキパンクはその頃からギターマニアだったので高校生にしてはかなり詳しい方だった。そのいけ好かない野郎はギターの話をするうちに大親友と化し一緒にバンドをやる事になった。コイツは誰でも知ってる後の大スターになるのだが私の身バレが恐いので秘密にしておく。今は何やってんのか知らん。そのスターは高校でもスターだった。メチャモテ。いつも周囲に4~5人の女子が群がっていた。そんなスターが休み時間には私の所に来てギターの話をして帰っていく。いつの間にか私の周囲にも女子がいる環境になったのだ。何これ。ウマい。ファミチキは旨辛ファミチキに格上げとなった。ある日、その中の一人の女子が「髪の毛長いねー。ファミチキの枝毛探していい?」と言ってきた。口から内臓が出そうになるのを悟られないようにしながら「良いよ別に」と平静を装った。休み時間はいつもその子が私の髪の毛を触っていた。今でも髪の毛や顔を触られるのは好きである。数か月か過ぎた頃、その女子に校舎裏に呼び出された。こんなテンプレ本当にあるんだなと思いながら教室は静かにざわついた。予想通り「好きだから付き合ってほしい」と告白されたのである。嬉しかった。嬉しかったが忘れたのか貴様ら。私は旨辛に格上げになったとはいえ所詮はファミチキである。断ったのだ。理由はよく分からん。底抜けのバカである。当時のファミチキの頭をギターでカチ割ったら中から極少量のカラメル無しのプッチンプリンが出てくるに違いない。しかし断ったのだ。教室に戻ると泣いているその子の周りに鬼の形相をした女子達。ですよね。そうなるよね。分かるー。世界で一番寒い夏の寒波は数週間私を襲い続けた。これは女性が苦手で小心者のファミチキが起こした悲劇である。今でも女性はあまり得意な方ではないが、私はこれを硬派だと解釈してこれからも生きてゆく。

 

誰がファミチキやねん。