亡霊の戯言

どんな理由があれど悪は悪。価値観?知るかそんなもん。

サディストとマゾヒストの狭間で

「私ドMなんです♡」という我々サディストには大変有難い告白をする女性が年々増えているような気がするが、この言葉を自分の都合のいいように受け取って返り討ちにあう男を数多く目の当たりにする。昨今のドMの人達は様々な痛みを好んで受けると言うより、その痛みを受け入れる許容範囲が人より少し広いよ♡という意味であるのと同時に好きな人に対してでないとその効果を発動しない。男はバカなのでその言葉を自分の都合のいいように鵜呑み、解釈をして何でも受け入れてくれるのだと勘違いし、自称ドMの彼女たちからサディストですらドン引きするような攻撃を受けて撃沈しているのである。私はSMの世界に興味が無いので全く詳しくないが、そもそもサディズムマゾヒズムというものはおそらく精神世界の話であって、そこに明確な線引きなど無い。お互いの信頼関係があって初めてその趣向が分けられ、そしてお互いの快楽を貪るのである。であるから勝手な解釈をして撃沈してる男を目の当たりにすると、バカな奴だと私はいつも下を向いてほくそ笑んでいるのである。ここで私がサディズムマゾヒズムも明確な境界線などないと確信した、本当のドMについて一つの事例を紹介したい。残念ながら私が相手をしたドM女性のエロ話ではなく私のパイセン、御歳50を超える所謂ドMのオッサンの話である。そのパイセンは我々後輩には超絶サディスト、それ何の棒なんすか?みたいな棒をいつも持って振り回し、我々後輩を理不尽に痛めつけ爆笑していた。場所は大阪。大阪には新大阪という街がある。新大阪には隠れSMクラブなるものが多数存在する。らしい。申し訳ないが私は行ったことがないので詳しくは知らない。そこにそのパイセンが足繁く通っているという噂を耳にした。パイセンはサディストなんだと疑いもなくその話を聞くとまさかのM。内心驚きすぎてワタワタしていたが平静を装って話を聞いた。お気に入りの女王様がおり、その女王様にブリーフ一丁で痛めつけられ、嬲られ、その全てを否定されても尚、女王様への信頼と心の繋がりを求めて耐えるその苦しさが快楽に変わる瞬間などというどうでもいい話を約1時間に渡って拝聴した。まぁただのオッサンの性癖だしどうでも良いなどと思っていたが事態は急変した。そのパイセンが失踪したのだ。何があったんだと思いながら最後にそのパイセンと一緒にいた奴に話を聞いた。いつもの仕事終わり、そのパイセンと一緒に帰る途中新大阪に誘われたそうだ。「いや無理っす」と何度も断ったが奢ってやるから頼むと言われ一緒に秘密倶楽部へ同行した。SMに興味のないその同僚は無駄に叩かれ無駄に罵られ無駄に落ち込んだ。店を一緒に出たその時のパイセンも凹んでいたようだ。どうしたんですかとの問いにそのパイセンは丁寧に答えてくれた。いつものプレイで女王様にいたぶられ、苦痛と快楽に溺れていたその最中ボルテージ最高潮に達したその女王様はおもむろに「この豚野郎があああああ!!!!」と叫びながら部屋のカーテンを開けたそうだ。そのWindowsは世界に通ずる窓。異次元で、異世界で豚となって壁にブリーフ一枚で縛りあげられていたパイセンの部屋はカーテンを開けることによってそのまま現実世界にログインしてしまったのである。目の前の窓の外に広がる光景は眩しいくらいに輝く新幹線の駅のホーム。パンイチで身動き出来ないパイセン。この世界は狂っている。全て壊れてしまえと叫びながらその漢は果てた。偽りの世界から目が覚めそして、本当は女王様がただ好きやっただけなんやと言い残しパイセンは地下鉄谷町線へと一人で乗り込みそのまま消えた。いつも一緒にいたかった。隣で笑ってたかった。季節はまた変わるのに心だけ立ち止まったまま。その歌を聞くといつもそのパイセンを思い出す。プリンセスプリンセスにはゲスい話で申し訳ないと思いながら。