亡霊の戯言

どんな理由があれど悪は悪。価値観?知るかそんなもん。

この素晴らしき美しい世界で

貴様は何故そんなに働くのだとよく言われる。酒は飲まない。ギャンブルも女もしない。私が考えている事は仕事の事と家族の事以外ほぼ無い。たまに音楽やバンド、ここブログ界隈の話が脳内をチョロチョロする程度である。何故そんなに働くのだ。「面白いから」に決まっているだろう。こんなに面白いものにハマらないわけがない。嫌々やっている人や惰性で働いている人が多い中、私は本当に楽しんで毎日仕事をしている。聞かれればそう伝えるわけだが「好きな事を仕事に出来るって良いよね」やら「得意な事があって羨ましい」やら言う人が殆どである。アホか。今の仕事は別に好きな事でも何でもない。15年前まで私はこの業界のイロハのイの字も知らないズブの素人であった。私は今の仕事が好きになるように寝ずの努力をし、面白くなるように自ら動いたのだ。では仕事の何がそんなに面白いのか、私の今の状況をボカシながら一例を紹介しよう。ちょうど一年くらい前に大手の社長から私に連絡があった。この業界でチョロチョロ動いている噂を耳にしたと思われる。ちょうど今ぐらいの時期で、料亭でふぐをつつきながら会談したのである。そこで「ウチの会社の協力をしてもらえないだろうか」そう相手は私に言った。先ほど述べたように、私は15年前まではズブの素人。その会社は大きな会社である。そんな会社から「協力してくれ」と言われるほど私に技術があるわけではない。しかし私には「少しの技術や知識」と「アイディア」があった。業界の当たり前を変えるべく、その「アイディア」を武器に営業活動に奔走した。その実績と私の名前が少しづつ認知されたのがこの3年ほどの事である。「協力してくれないか」の言葉に私は「何ビビってんだこのオッサン」と内心思いながら「構いませんよ。是非一緒にやりましょう」と笑顔で答えた。周囲には「あのオッサンはタヌキだからやめとけ」とか「潰されるぞ」と言われながらも「大丈夫っしょwww楽勝楽勝www」と言いながら私が知り得る技術や知識の開示をその会社に行った。一緒にやればこれぐらいの年間の売り上げが見込めるという「人参」を目の前にぶら下げられ、特に私はその「人参」に食いつかずに淡々と過ぎた一年。そして先月の話となる。ウチの技術や提案丸パクリの製品がその会社から船出した。感想?「ほう...」とだけ思った。「だから言っただろう」「どうするんだお前」と私の電話が連日鳴り続けた。私は思うのだ。裏切られても別にどうも思わん。これは強がりでも何でもない。私は常々「誰かに裏切られても別に構わない」と思って日々過ごしている。相手を信じ、依存するから絶望するのだ。裏切られた場合の策を予め用意していれば何も問題は無い。私はこの裏切りを事前に知っていた。その会社の社員数名に近付いてこちら側に巻き込んでいた。どの会社にも「会社に対して不満のある人物」は存在する。その人物に近付いてこちら側に巻き込み、常に情報を掴んでいたのだ。そしてその会社はその製品を世に出した。私はその全てを開示していない。決定的な部分は伏せてある。その会社に知識があれば検証していたであろうその「決定的な部分」は新しい製品に装備されていない。そして部品関係も肝心な部分のみ事情を説明して私が根回ししているので、その会社は類似品を探すのに苦労するだろう。相手はまだ何も知らない。私は「頑張って売ってこいよ。その不良品を」と思いながら黙って見ているのだ。どうだ。面白くないか?これはゲームでも何でもない。現実の話だ。まんまと騙されていたら、私はシェアを根こそぎ持って行かれてジリ貧で首を括って家族は路頭に迷うことだろう。こんな事を毎日やってるんだ。楽しくてしょうがない。私の前に広がるこの美しい光。あともう少しだ。私はあそこに行けるかもしれないと10km先だけを見ながら走っている。しかし足元、1メートル先は落とし穴だらけなのだ。その落とし穴を覗いてみると、欲だらけの汚ねえ顔した輩が苦しんでいる。「命懸けで仕事してますから」と誰かに言うと必ず笑われる。アホか。お前と一緒の世界に俺はいねえんだよ。毎月自動的に上から降ってくる金を受けとりながら落とし穴の少ない道を歩いてろ。俺は明日地獄に堕ちるかもしれないギリギリの場所を走る。落とし穴だらけの道で綱渡りや目隠しされて走ってるんだ。面白いぜぇ。大手とやり合うには「俺は死なねえ」と信じて走るしかねえんだ。

 

面白そうだろ?俺の仕事。